レバノンでは、ある女性をレイプした男性が、被害者女性と結婚をすることで強姦罪から免れる刑法522条というものがあります。
ベイルート海岸で31人の花嫁が首吊りをしているようにも見えるこの衝撃的なインスタレーションは、NGO団体アブアード(ABAAD)とレバノン出身の女性アーティスト、HONEÏN MIREILLEによる作品です。
中東・北アフリカ地域で暮らす社会的マイノリティそして女性のエンパワーメント、人権問題に取り組むNGO団体アブアード(ABAAD)のマネージャーAlia Awada氏はこのプロジェクトに関してこのように語りました。
純白のドレスは強姦罪を隠すことができない。1ヶ月は31日ありますが、この31着のウェディングドレスは毎日レバノンのどこかで、被害者女性への強姦罪がウェディングドレスにより隠蔽されていることを訴えています。
このインスタレーションを企画したアーティストHONEÏN MIREILLEは、ウェディングドレスを紙で作りました。脆くて不安定な素材である紙を用いることで、刑法522条が女性に強いる“結婚”がいかに儚くそして危ういものであるかを表現しています。
刑法522条は被害者女性をこれまでの人生から強奪し、彼女のアイデンティティを不確実で不安定なものにしてしまう現状を、これらのウェディングドレスを“吊るす”ことで訴えました。
レバノン女性省のJean Oghassabian大臣は刑法522条の廃絶へ賛同。
紙の素材で作られたウェディングドレスの一部を切り取り署名し投票箱に入れました。
刑法522条は石器時代からの遺物であり、現代社会では受け入れ難い法律です。レイプの被害を受けた女性が、加害者との結婚という監獄に入れられるとは道理が通らない。人道的に許せません。
5月には刑法522条の改正案が国会で審議されます。
このインスタレーションは、レバノン国内と国際社会に刑法522条の存在そして同法廃止の重要性を知ってもらうことを目的としています。
レバノン政府の報告によると2016年の1年間だけで600件のレイプ被害届が提出されており、実際の被害件数はこの数字を大幅に上回ると考えられています。またその多くの被害者女性が、強制的に加害者と結婚させられています。
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