トランプ大統領の一時は収束を迎えたように思えた中東・アフリカのイスラム圏6カ国の国民の入国を禁じる大統領令ですが6月26日に再び、米最高裁が10月に最終判断をするまでという条件付きで執行を認めました。
その翌日6月27日、移民が多く暮らす街ニューヨークのタイムズスクエアに突如、今ではあまり見かけることがなくなった公衆電話が3台設置されました。
受話器を取ると、移民としてニューヨークで暮らす人々が語る声が聞こえてきます。
3年間かけて、ニューヨークで暮らす70名の移民の声を集めてきたという、両親がアフガニスタン移民のアーティストのアマン・モジャディディ(Aman Mojadidi)。奇しくもトランプ大統領就任後、彼の作品はより一層社会的に注目を集めることになりました。
こちらの作品『Once Upon a Place』は9月5日まで設置される予定です。
さて、このシンプルでインパクトのある作品を設置したアーティスト、アマン・モジャディディ(Aman Mojadidi)は、日本の文化にも高い関心を持っているのです。
ダッカ・アート・サミット2016で展示した作品『Untitled Garden #1』。
枯山水とネオンサインの「ムー」。
この字体の「ムー」をみると、超能力、UFOや奇現象を取り扱った月刊ムー を思い浮かぶ日本人は少なくないと思います。
アマン・モジャディディにとって「む」は、禅宗の「無」でもあり、今から約1万2000年前に失われたとされる「ムー大陸」でもあります。
ムー大陸には、現代よりもはるかに高度な文明が築かれていたと考えられています。
今でも謎多き文明を最初に唱えたイギリス人作家ジェームズ・チャーチワードによると、ムー大陸では白人種が中心となりその他の人種は奴隷として働いていたそうです。
彼の話には確固たる根拠はなく、一説ではマヤ文明やインド、エジプト、ペルシャといった複雑で高度な文明は、白人種中心であったムー文明の影響下にあったと解釈したがる白人優越主義者の作り話ではないかと言われています。
アマン・モジャディディは、ヨーロッパ中心主義の歴史を突き進めることへ疑問を投げ、枯山水で立ち止まり考え直すことへ誘います。
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