エルサレムに拠点を置く建築家ユニットAAU ANASTASがデザインする、パレスチナローカルなデザイン家具ブランドLocal Industries。
2011年に誕生したLocal Industriesは、パレスチナで古くから受け継がれている技術を用いて、世界基準の家具を生み出しています。ニーズがなければ廃れる一方である職人の技術を、現代のライフスタイルにあった家具作りにいかに取り入れるか。彼らの建築家としてのこれまでの活動にそのメソッドの秘密が隠されています。
ボトムアップだからこそ見えてくるサステイナビリティー
パレスチナの風土、受け継がれてきた技術、そして実用性を徹底的に調査し、技術者と直に意見を交わしてプロジェクトを作り上げて行きます。彼らにとって、プロセスこそが大切なプロジェクトなのです。
目的へとたどり着く過程で新たな発見がある。そしてそれを重んじるのが彼らのスタイル。
これまでの代表的なプロジェクトにもその性格が表れています。
エルサレムは古くから様々な文化が交差する場所でした。
その特性は、エルサレムの建築事情にも影響を与えているとAAU ANASTASは考えます。
異なる文化が寄り添い、新しい様式を紡ぎ出す。
彼らは“ふるくさい”と時にあしらわれてしまう昔ながらの優れた職人技と現代のライフスタイルのニーズが出会った時の化学反応を楽しむ建築家なのです。またそれが、エルサレムらしさに繋がるのです。
建築家としてまた家具デザイナーとして世界的にも注目を集めているAAU ANASTASのプロジェクトを2つ紹介します。
While We Wait
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#glowing thanks @architecturalphotographer #whilewewait in the #cremisanvalley #bethlehem
メディテーションの場所としてベツレヘム郊外クレミザン渓谷に作られた石の塔While We Wait
パレスチナの様々な土地から集められた石は、コンピューターを用いて設計されたデザインを元に機械でカット、そしてパレスチナの職人により仕上げの加工が施されています。
クレミザン渓谷は標高が高くミネラル分が豊かな土や乾燥した気候により美味しいオリーブとぶどうで知られています。また19世紀からこの地にあるクレミザン修道院のワイナリーでつくられるワインは逸品だそうです。(飲んでみたい!)
村の人々は修道院、ワイナリーそして豊かな自然と共に暮らしてきました。
がしかし2001年、イスラエル政権による村を横断する分離壁建設計画が持ち上がりました。
村人は毎週金曜日集まり壁の建設に反対しました。
彼らが壁の建設を反対する最大の理由は、自然でした。
While We Waitは村人の反対を押し切って建設された分離壁と同じ石で作られていますが、
視界を遮り断絶を強いる分離壁とは違い、レースのように編み込まれた石はその中で瞑想をする人と自然、そしてこの地が何千年も辿ってきた時の流れの対話を見守っているようです。
Mass Imperfections
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#massimperfections #palestinianpavilion @dubaidesignweek #abwab #aauanastas #localindustries
エラーを最小限にする(できればゼロに!)
機械の発展は無駄をなくし生産の効率を上げてきました。
一方で手仕事によるエラーは時に個性や味として愛されてきました。
AAU ANASTASは手仕事による歪みを尊重します。
Mass Imperfectionsは手仕事と技術のコラボレーションにより作られた552個のピースでできています。
エラーによる驚きと発見を讃えよ!
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