2019年6月に上智大学で中東地域の現代アートについてお話しさせていただきました。

そもそも現代アートって何なのか?そして中東地域にも現代アートってどんな作品なのか?
などなどfacebookページの“アートな中東”から始まったこのウェブサイトを立ち上げの原点となるお話をしました。

せっかくなのでその時の内容をご紹介します。

そもそもこの活動を始めた最初のきっかけは周りの人々から投げかけられる疑問でした。

日本の大学院で中東地域の現代アートと社会情勢を研究したいと言うと、“現代アートって何?モスクのタイルやミニアチュールの事?”とよく聞かれました。

現代アートに普段から関わっている方々に中東地域の現代アートを研究していると言うと、“中東にも現代アートってあるの?”と聞かれました。

どちらの疑問にも強く、中東地域の現代アートはイスラム美術ではない!と言い続けてきました。 しかし実際に見てみないと、触れてみないとしっくりきません。 そこで、ウェブサイトで中東地域を取り巻く社会的そして政治的な背景の説明を加えて中東現代アートの紹介をすることが疑問に答える一番と近道であり、今の日本で中東地域をより深く知るための一つの手がかりになると考えました。

2018年に表参道で写真展を企画したイラク出身の写真家Cheb Mohaはこう言います;

中東と聞いて最初に思うのは、危ない、と か、紛争のイメージでしょ? 流行っているものは先進国と同じ。 そんな中東もあるのに外からの中東のイメー ジはもう30年も止まったままだ。

彼はフィルムカメラで写した仲間たちの何気ない日常をInstagramに投稿する事で、30年間止まった中東のイメージを塗り替えようとしています。

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(表参道で開催した写真展に合わせて初来日を果たしたCheb MohaのNHKによるインタビューはこちら!)

今までにない中東地域のもう一つの姿がここにある!と声を大にして伝えたい中東の現代アート。
そこには受動的ではない、能動的な人々の姿があるのです。

能動的とは、アーティストたちは自ら自分たちが置かれた状況を分析し、そして様々な方法でそれらを表現し、発信しているからです。その姿には可哀想といった同情の感情が入る隙間はなく、ただただ圧倒される強い志があるのです。

次回は変化し続ける中東社会を走り続ける中東地域出身のアーティストと彼らの作品を紹介します!