サンダンス映画祭2021で上映され話題を呼んでいる映画Flee

タイトルのFleeは、英語で“逃げる”という意味です。

この映画は、アフガニスタンからデンマークに難民として移り住んだ主人公Aminが20年間誰にも話せずに抱えてきた過去を恋人にゆっくりと告白していく実話に基づいたアニメーションムービーです。

アニメーションの手法を使ったドキュメンタリーというジャンル自体とても新鮮です。監督のJonas Poher Rasmussenは、アニメだからこそAminが少年期まで過ごした当時のアフガニスタンやその後中間地点としてすごくモスクワ、子供の目にうつる戦争などを巧みに表現することができたと話しています。
映画の所々にアーカイブ映像を盛り込むことで視聴者にこれは実話であることを思い出させます。また主人公の回想を表すアニメーションのタッチと主人公がトラウマを告白しとても感情的になる情景を表すタッチを変えることで見る人により強いインパクトを与えていると話しています。

Aminはアフガニスタン社会ではなかなか受け入れられていない同性愛者でもあります。監督は、Aminがこれまで隠してきた自分の過去を話すことで彼にとってもセラピーのような効果があり身が軽くなり、デンマークで出会った恋人との新しい人生の幕開けができたと話していました。

アフガニスタンから戦争を逃れてデンマークにやってきた難民の実際の語りがアニメーションで描かれている映画Flee。“難民を統計の数ではなく一人一人のストーリーを見てほしい”と話していたポッドキャストArt with Distance の1回目のエピソードに出てもらったシリア人アーティストOmar Imamの活動とも通じるところがあります。

この映画は第73回カンヌ国際映画祭の公式ラインナップでも選ばれていました。日本での公開はまだ未定ですが、公開が決まった際にはぜひご覧ください!